muronoazono’s blog

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読書感想ブログその4

作業療法理論について学ぶ

 

今回読んでみた本はこれ。

 

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5W1Hでわかりやすく学べる 作業療法理論の教科書

5W1Hでわかりやすく学べる 作業療法理論の教科書

  • 発売日: 2020/09/28
  • メディア: 単行本
 

 

この本は信念対立解明アプローチOBP2.0理論など様々な理論研究をされており、近年ではユーチューバーとしても活躍されている京極真先生も自身の動画で紹介しています。


新刊紹介動画
【新刊紹介】作業療法理論の教科書を発売します! - YouTube


増刷決定の動画
増刷決定!作業療法理論の教科書 - YouTube


ぼくのブログを読むのが手間な方は是非こちらの動画を参考にしてみてください。

 

 

 

  • この本の特徴

 

これは作業療法理論を現場で活用するための入り口となるもので、とてもわかりやすく説明してくれています。

 

※ぼくのような、理論から逃げ回っていた人間からするととてもありがたい本です。

 

 

 

  • なぜ理論が必要か

 

この本で理論は作業療法の実践における特定の問題を過去の情報に照らし合わせて理解し、

言語化し、介入方法の検討を手助けするもの

 

 

とあります。

 

また、過去に観察され、蓄積された情報が凝縮化されたマニュアルのようなものとあり、

 

実践を分析し、過去の知見を参照することによって、良い実践へと導くために必要と述べています。

 

 

 

  • 理論の意義

 

理論の意義について本書では3つの視点で述べています。


・理論を使用する一般的な意義

1、結果を予測することができる
2、ある「事実」を説明・解釈する手がかりを得ることができる
3、ある現象を「整理」することができる
4、仮説を生み出す「母体」になることができる

 


作業療法の独自理論を確立することによる専門職にとっての意義

1、作業療法独自の知識体系を確立し、作業療法のアプローチの独自性を示す
2、作業療法の守備範囲を明確にする
3、実践に妥当性を与え、その手引きとなる
4、診療報酬を正当化する

 


作業療法における理論の意義

1、作業療法を臨床で思考するために重要で臨床実践を明確化できる
2、人の生活や作業を評価・介入する専門職にとって有用である
3、作業療法の臨床実践の根拠であり説明のツールである
4、作業療法の学問的知識であり、作業療法の科学、哲学である


このまとめからも理論は学問と臨床実践を結ぶ重要なツールであるといえますね。

 

 

 

  • 理論を用いる際の注意点

 

理論を学ぶこと、理解すること、実践に活かすことは非常に重要ですが、理論を用いる際に注意しておかなければいけないこととして、以下の3点が挙げられています。


・理論は時代背景や科学や医療の発展とともに変遷する

 

・理論は研究により効果が認められるようなエビデンスをもつものもあるが、その範囲が限られていたり、不十分な理論もある

 

理論がすべて正しいとは限らない


これらの点を念頭においた上で理論をうまく実践に活かしていくことが大切になっていきます。

 

 

 

  • 理論の分類

 

理論には目的、扱う対象や範囲、実践との関係により分類することができます。


分類方法を知ることで理論を整理し、正しく用いることが可能になります。

 

理論を扱う概念の範囲によって

・超メタ理論
・メタ理論
・大範囲理論
中範囲理論
・小範囲理論

 

と、大きく5つに分けられることができ、理論を分類して理解することは理論を実践で活用する際の知識の整理のために有用になります。

 

 

 

 

理論書を学ぶことを決意したとき、最後に問題と超えるべき課題が立ち現れます。

 

その問題となるのが
『理論書の難解さ』『理論を臨床現場で活かす読み解きの難しさ』であり、

 

超えるべき課題が


①一人で抱え、一人で解決しようとする心理的エラー
②多くの情報処理
③難解な理論書の理解と読み解き

 

になります。

 

理論を学ぶのはやっぱり難しい…。


自分には無理だ…。

 

そう感じてしまう人は少なくないと思います。
まさに自分がそうでした。

 

でもこの本は理論を学んだ上で実践するのと、そうでないのとでは臨床過程や結果が大きく変わってくる、ことを解説してくれています。

 

 

 

  • 臨床での理論使用の効果

 

以下に挙げる理論使用の有効性を検討した上で、わたしたち専門職は理論を使用するべきかどうか判断します。

 

・失敗回避:過去の過ちを繰り返さない最良の手立て

 

・専門性の確立:現象を言語化する力を養い、議論の進行をスムースにする

 

・方向づけ:自分に足りない視点や行動を提示し、OTの視点で介入ポイントを示す

 

・持続的効果:理論の力で多面的に見る視点+包括的に人を捉える=持続的効果(即時効果に留まらない)


理論が素晴らしいことはわかるけど、やっぱり自分なりに学んで考えたことを実践してみたい!

 

そう思う気持ちはとても大切ですし、わかります。

 

ただ、私たちの仕事の大半は診療報酬の上で成り立っています。

 

言い換えれば対象者さん以外にも皆さんからの税金によってお金を頂いています。

 

そして何より私たちの関わりは、


病気に罹り、障害を持たれた対象者さんの人生を大袈裟ではなく良くも悪くも変えてしまいます。

 

そう考えると、ただただ自分のやりたいことをやりたい、という考えに少しブレーキをかけないといけないのではないか…

 

ぼくは理論の重要性を考えるようになってからこんな考え方に変わっていきました。

 

 

 

  • 理論に関するQ&A

 

最後に本書では理論に関する素朴な質疑応答のページがあります。

 

強く共感した内容を2点紹介したいと思います。


Q1、信じる理論の違いによって、なぜ対立は生まれるのか?

 

A1、理論を信じるからこそ対立は生まれる。

理論を「共通目標を達成するために使うツールであり、複数の理論を補完し合いながら活用していけばいい」と気づくこと。

 

理論は信じるものではなく、目標を達成するために使うもの

 

 


Q2、理論はどこまで学習すればいいのか?

 

A2、まずは広く浅く学習することが重要。

実践で適応しながら学習を深める(強化)。

 

最終的に広く深く学ぶことがベスト。

実践で使えそうならまず使う!

理論は実践で使わないと身につかない

 

 

 

以上です。

上記内容以外にも本書では21の理論を、

 

なぜ?何で?誰が?どこで?いつ?どのように?用いるのかを解説してくれています。

 

各理論の感想まで書くと、ますます乱文に拍車がかかってしまうのでこのへんにしたいと思います。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。