muronoazono’s blog

おもに読書内容のアウトプットとしてブログを書いています。よければ覗いてみてください

読書感想ブログその7

今回の本はコレ

 


作業療法の話をしよう
作業の力に気づくための歴史・理論・実践

 

 

 

 

  • はじめに


作業療法人がよりよく生きるための哲学と具体的な実験が融合する分野です。


また作業療法士(以下、OT)は作業療法の話をすることが大好きです。


しかし「作業療法はわかりにくい」「説明してもわかってもらえない」と言われてきました。


本書は前回紹介した『「作業」って何だろう』の著者であり、作業療法士である吉川ひろみ先生となっています。

 

 

「作業」って何だろう 第2版 作業科学入門

「作業」って何だろう 第2版 作業科学入門

  • 作者:吉川 ひろみ
  • 発売日: 2017/07/14
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 


吉川先生は「人は話すことによって自分の知識を確かめ、新しいことに気づく」と言われています。


僕も吉川先生にならい、作業療法のことをまだまだ知らない皆さんに少しでも伝えていく、という作業を実践していきたいと思っています。


その作業を通して自分の知識を確かめ、新しい発見に気づいていけたらと思っています。


本書は作業療法の歴史に始まり、実践、理論と幅広い視点で解説されています。


以前に作業療法の理論についてのブログを書いたので、今回は作業療法の歴史について紹介したいと思います。

 

読書感想ブログその4 - muronoazono’s blog


学校の授業みたいで退屈に感じてしまう方もおられるかもしれませんが、良ければご一読ください。

 

 

 


1、むかし-活動を使った治療


哲学の父といわれたヒポクラテスは「病気を癒すものは自然である。つまり人間に備わっている活動するという性質が治療になる」という考えをもっていました。


また薬、食事、外科治療、温熱など現代医療につながる様々な治療法を列挙しており、そのなかに『仕事』や『散歩』があったと言われています。


ギリシャの医学者ガレノスは健康の維持に役立つ作業として舞踏、乗馬、水泳、狩猟、農作業などを挙げ、精神病にはレクリエーション作業を処方しました。


心身機能障害があって何もできないと思われていた人が、自分にぴったりの作業に出会うことで社会で活躍することがある。


歴史のなかで世界中のあちこちでこうした事実が確認され続けてきました。

 

 


2、ルーツ-道徳療法・アーツアンドクラフツ運動・社会背景

 

  • 道徳療法


18世紀フランスの医師フィリップ・ピネルは当時の精神科での治療法に疑問を持っていました。


患者は精神病だ、というレッテルを貼られ、閉じこめられたり血を抜かれたりする治療が現実に起こっていたそうです。


その一方で患者に対して思いやりのある態度で接している看護師が付き添っている患者たちの状態が良くなっていることを観察していました。


そこでピネルは患者を尊厳ある存在として認め、道徳的に対応していくことで患者の状態が良くなっていくのを知りました。


道徳療法は人としての生き方を推奨され、18〜20世紀初頭にかけて日本を含む世界へと広まっていくことになります。

 

 

  • アーツアンドクラフツ運動


作業療法のもう一つのルーツは19世紀のイギリスで始まったアーツアンドクラフツ運動と言われており、特に有名な人物としてウィリアム・モリスがいます。


産業革命後、人々は工場で大量生産された日用品を使って生活するようになりました。


それまでは自分の生活で使う物は自分で手作りしていました。


つまりそれは世界に一つしかない貴重品だったのです。


これに気づいた人々が手作りの良さを認め、アーツアンドクラフツ運動を起こしました。


この運動を通して人が想いを込めて作った作品を使う日常を豊かだと感じる人々が増えてきます。


道徳療法とアーツアンドクラフツ運動の精神は作業療法を誕生させましたが、順調に発展はしませんでした。


その要因に19〜20世紀初頭にかけて起こった経済不況があります。


これにより世界経済は大きく変化しました。


欧米では移民が増えたことで経済格差を生みます。


新展地不適応となった人々などで精神科病院では患者数が急増し、人もお金も不足していきました。


結果、道徳療法も実践する余裕がなくなってしまうことになります。

 

 

 

  • 社会背景


社会福祉の基礎になったと同時に、作業療法を支えるきっかけとなった社会運動、それがセツルメント運動精神衛生運動があります。


精神衛生運動により、予防を含めて精神病を考えるようになりました。


また貧富の格差を問題視する富裕層の人々によるセツルメント運動も広がりました。


こうした社会背景の中で、人々や社会をより良い状態にするために作業が使われるようになっていきます。

 

 


3、需要-誕生と戦争中の再建病院での活躍

 


1923年にアメリ作業療法士協会が発足され、作業療法をより発展させていこうと言う動きが見られました。


精神科医ウィリアム・R・ダントンと建築家のジョージ・E・バートンが中心となり、作業療法士協会設立メンバーを考えました。


そこでソーシャルワーカー、看護師、高校教師が選ばれ、さらに建築家が加わったことで、作業療法は学際的、国際的なものになっていきました。

 

 

 

  • 再建助手


アメリカに作業療法士協会が誕生した1ヵ月後、アメリカは第一次世界大戦に参戦しました。


アメリカの医師たちは理学療法士(以下、PT)やOTの業務を行う再建助手を戦地へ派遣しました。


戦争によって目の前で人が死ぬのを見た兵士の中にはショックによる精神症状を示すものも現れ、そのために作業療法が求められました。


戦地で手工芸を行うことで兵士たちが回復していく姿を見て作業療法の価値を認められるようになります。


アメリカ政府は負傷兵たちの生活を保障するために職業リハビリテーションなどの法律を作ります。


こうした法律はOTに活躍の機会を提供することにもなりました。


しかしOTは軍での地位は与えられず作業療法を本当に必要な医学的治療と認める医師が増えることはありませんでした。

 

 


4、拡大-リハビリテーションとともに普及


軍の指導者たちは作業療法「患者を元気づけるボランティアのような存在」としか見ていませんでした。


その結果、PTと同様に身体の耐久性、関節可動域や筋力、自助具について関わることがOTの業務になっていきました。


第二次世界大戦終結した後は傷病兵のリハビリテーションが世界各国に広がっていくことになります。

 

 

 


(1)世界作業療法士協会(以下、WFOT)
1917年にアメリ作業療法士協会(以下、AOTA)が生まれた後、世界各国に作業療法士協会が設立されていきました。


1952年には10カ国が参加して会議が開かれ、世界作業療法士連盟が設立しました。


WFOTは1959年に正式に非政府組織となり、OTになるための教育基準も定めていきました。

 

 


(2)日本作業療法士協会(以下、JAOT)
1965年にJAOTが誕生し、1972年にはWFOTに正式加盟することになります。

 

 


5、見直し-作業療法の本質


1960年のAOTAの定義には作業療法「患者の主治医により処方され、作業療法士により実施される」とあります。


その3年後、パックマンは心理社会的適応を促す「通常の活動」を使うことが作業療法の独自性だと述べ、医師の指示と言う要件を外しました。


1993年の定義では1980年に世界保健機関(以下、WHO)が発表した国際障害分類(以下、ICIDH)の用語が含まれました。


そして2000年以降の定義には「作業を使った」「作業を通して」と言う言葉が登場し、いよいよ「作業」によって作業療法を説明する時代に入ることになります。

 

 


作業療法は誕生当初から「わかる人にはわかるが、わからない人にはわからない」性質を持っており、みんなが「これが作業療法だ」と言う説明を求め始めました。


1997年にカナダ作業療法士協会は作業が作業療法の中核であると明言し、その後世界中で「occupation=作業」と言う言葉で作業療法を説明する機運が盛り上がっていきます。


2018年JAOTも定義を改定し、作業と言う形を使うようになりました。

 


6、理論の出現

  • 作業行動


1960年アメリカのOT、マリー・ライリー子供の遊び退職者の趣味までを含み作業行動として考えることを提唱しました。


作業行動は一人一人がどんな遊びを好み、何が得意で、何をして人生を送ってきたか、に焦点を当てて物事を考えることを奨励します。


作業行動を学んだOTたちは作業歴、興味チェックリスト等の評価法や人間作業モデルを考察しました。

 

 


7、基盤づくり-理論とエビデンス


1980年代に入り、作業療法の原理を語り、作業療法実践を説明する理論が誕生し始めました。


1980年から2000年は作業療法の概念的ルネサンスと呼ばれており、作業療法の本質をOT自身が明らかにしようと言う努力が始まります。


作業療法は何に関わり、何を行い、どのような成果を出すかを説明する理論が生まれ、


研究により作業療法の効果を証明するエビデンスが明らかになり、


さらに理論が洗練されていく時代に入ります。

 

 

 


1990年代からエビデンスに基づいた医療(以下、EBM)が注目され始めた。


EBMとは実際に効果があったと臨床研究によって証明された治療法を奨励するものとされています。


作業療法の効果は作業で示すべきだという考えが生まれ、作業療法エビデンスを示す評価法が開発されていきます。


アメリカのOTアン・フィッシャー評価も介入も成果も作業で示すことを提案した。


作業療法では治療法は「作業」、成果は「健康」とします。


そのためには「健康」とは何を指すかが重要です。


WHOが1986年に発表したオタワ憲章では


「仕事、生活、余暇のパターンを変更することは健康に重要な衝撃を与える。


仕事や余暇は人々にとって健康の源である。


社会が仕事を組織する方法が健康な社会を創造する」


と述べています。


健康の定義→1946年に発表した(WHO)では「単に疾患がない、虚弱でないと言うことではなく、身体的、精神的、社会的に完全に良好な状態」


であるとされています。

 

 


8、これから-ビジョンと発展


WFOTは作業療法とは何かを説明する声明書を発表し、AOTAは統一用語を作ったり、枠組みを明示したりして、作業療法の社会的認知度を高めています。

 

 

 

  • 求められる資質


世界作業療法士協会の倫理網領には作業療法の資質として以下の4点が挙げられています。


インテグリティ:一本筋が通った芯のある人格者であること


信頼性:嘘、偽り、ごまかしがないので信用できるという性質


オープンな心:偏見や思い込みに支配されず誰に対しても広い心で関わりを持つ親しみやすい態度


忠誠心:周囲の人々や社会からの正当な期待に応えようとする真面目さ

 

 

 

  • 作業の視点


(1)作業科学
※ここは以前紹介した「作業」って何だろうの読書感想ブログを参照ください。

 

読書感想ブログその3 - muronoazono’s blog

 


(2)作業中心の実践
クライエントにとって意味のある作業を重視した作業療法作業を基盤とした実践(OBP)、作業に焦点を当てた実践(OFP)、これらを総称して作業中心の実践と呼んでいます。


OBPクライエントが実際に作業を行う
OFPクライアントの作業から目をそらさずに作業療法を行う


これからの作業療法は作業中心の実践の価値を世の中に示していくことが求められます。


(3)作業リテラシー
作業にまつわる現象を作業の言葉で説明する力のことを指します。


作業リテラシーを習得することで、より洗練された作業療法を行うことができるとされています。

 

 

 

  • 将来ビジョン


作業を治療に使うと言うアイデアは古くからあり、時代の波に流されながらも、消えずに残り続けました。


作業療法は多様で柔軟に変化するため、専門職として分かりにくいと言われてきました。


しかし多様化、複雑化する現代社会において、作業と言う核を持つ作業療法は発展し続けています。


作業の効果を最大化する知識や技能を持つ作業療法士を未来は必要としています。

 

 


以上です。
なかなかのボリュームになってしまいました。。。


今回紹介させていただいた内容は本書のほんの一部です。


もし作業療法の歴史・理論・実践に興味関心のある方がおられたら是非本書を手に取っていただけると嬉しいです。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

読書感想ブログその6

今回の本はコレ。

 

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幸福の資本論
あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」

 

 

 

橘玲さんの本は何冊か読んでおり、

そのなかでも本書は特に好きな一冊です。


『幸福』という漠然としたものを、
人が生きる上で必要な3つの資本で解説していく、というとてもわかりやすい本になっています。


この本を読んでからは『幸福』というものをより具体的に生々しく考えられるようになりました。


さて、3つの資本と8つの人生パターンとは一体なんぞや?


少し長いですが、興味のある方は是非読んでみてください。

 

 

 

  • プロローグ


ひとは幸福になるために生きているけど、幸福になるようにデザインされているわけではない。


ゆたかな日本に住む若者はいまや選択肢が多すぎることに困惑している。


そもそも「幸福」とは何か?
本書では幸福の条件「設計できるもの」「設計できないもの(運命)」に分けています。

 


また本書では幸福を『家』で例えます。


住みたいと思う家は人それぞれ異なる。
どれが良い悪いではなくどれも良い家です。


しかし…どの家にも必ず共通すること


それは


良い家はしっかりとした土台の上に正しい設計で建てられている。

 

 

 

  • 幸福の3つのインフラ

 

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冒頭で説明した3つの資本がこれです。


①自由:金融資産
自己実現:人的資本
③共同体=絆:社会資本


各資本の詳細はこのあと説明していきます。


どのような家を建てるか(幸福を実現するか)は人それぞれの価値観で変わってくる。


自分が建てたい(増やしたい)家(資本)を建てれば(増やせば)OK!

 

 

 

  • 人的資本と社会資本


投資家:
自らの金融資本を金融市場に投資(リスクを取る)→富(リターン)を獲得する


※もちろん損もする


労働者:
自らの労働力(人的資本)を労働市場(会社)に投資→給与や報酬()を得る


社会資本:
周りの人たちとの関係性から「富」を得る


人的資本と金融資本との類似性は強いが、人的資本の活用(仕事)から得られるものすべてを富(金銭)に還元できない


なぜ…?


現代社会は仕事を通じた自己実現』こそが幸福の条件になっているから


金融資産同様「人的資本」「社会資本」も"投資"して「富」すなわち"資産"を手に入れることが幸福になる条件

 

 

 

  • 人生8つのパターン

 

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本書では人生を大きく8パターンに分けて説明しています。

 


超充
→3つの資本全てを持っている人


リア充
旦那(パパと呼ばれるような人たち?)
金持ち
→3つの資本のうち2つを持っている人


退職者
ソロ充(独身ライフを満喫している人)
プア充(生活圏が地元の友達らとのコミュニティ)
→ 3つの資本のうち一つしか持っていない人


いま持っている資本(産)が無くなったらどうする…?


貧困
→3つ全ての資本を持っていない人


資本(産)を全く持っていない人が生きていく上でのリスクは非常に高い

 

 

 

  • 幸福の製造装置

 

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私たちはみな「幸福の製造装置」を持っており、そこになんらかの刺激(インプット)を入れると、あるメカニズムによって「幸福」に変換(アウトプット)されます。


本書ではそのインプットを3つの資本でまとめています。


この製造装置に何をどの割合で入れれば幸福になるのかはわかりません(ブラックボックス)。


ただしひとつだけ言えることは、


インプットするもの(資本)がなければアウトプットするもの(幸福)もない、ということです。


これを踏まえて3つの資本をどのように資産配分していくことが大切かをより深掘りしていきたいと思います。

 

 

 

  • 誰でも億万長者になれる残酷な時代


「収入の10〜15%を貯蓄に回す倹約を続けていれば誰でも億万長者になれる」


※平均年収の倍の収入が必要だが夫婦共働きをすることで解決できる

億万長者は努力でなれる…ということは貧乏は社会制度等のせいではなく"自己責任"になってしまう…

 

 

 

  • お金が増えても幸福になれない?


ビールは1杯目が美味しい。
だけど2〜3杯目になると美味しさが下がっていく。


これを限界効用という。


日本では年収800万を超えると幸福度はほとんど上昇しなくなる。


また金融資産は1億を超えると幸福度はほとんど上昇しない。


お金は幸福度を低下させることがあるが、
お金が「ある」「ない」が問題ではなく、


『お金のことを考え過ぎること』が幸福度を低下させてしまう。

 

 

 

  • 人的資本は「富の源泉」


金持ちになる3つの方法(これしかない)
①収入を増やす
②支出を減らす
③資産を上手に運用する

 

 

 


ひとはそれぞれ「人的資本(ヒューマンキャピタル)」を持っており、それを労働市場に投資して日々の糧となる収益(給料)を得ている


これは「労働」の意味を大きく書き換えたイノベーション

 

 

 

  • 20代で5500万円の人的資本


一般的なサラリーマンが生涯稼ぐことのできるお金を計算すると5500万円になる


現時点で若者がこのお金(金融資産)を持っているわけではないが一つ言えることは


『もっとも重要な「富の源泉」は人的資本』である。

 

 

 


金融取引のルール→
①利益は大きければ大きいほどいい
②同じ利益ならリスクの小さい方がいい


人的資本の投資に関するルール→
①収入は多ければ多いほどいい
②同じ収入なら安定していた方がいい
③同じ収入なら(あるいは少なくても)自己実現できる仕事がいい


人的資本には金融取引にはない特徴がある。

 

 

 

  • かけがえのない自分になること


私たちは働くことに2つの目標を無意識的に設定している。
①人的資本からより多くの富を手に入れる
②人的資本を使って自己実現する

 

 

 

  • オンリーワンでナンバーワンの戦略


スペシャリストになるには
好きなことに人的資本の全てを投入する


好きなことが「得意なこと」になり、それ以外のことは「やってもできない」

 

 

 

  • 弱者の3つの戦略


①小さな土俵で勝負する:
強者が侵入できない「小ささ」を利用し、大企業にはアクセスできないニッチを見つける


②複雑さを味方につける:
ルールがシンプルなゲームは強者に有利になる


③変化を好む:
変化の激しい環境ほど弱者にはチャンスがある

 

 

 

  • 「老後問題」とは老後が長すぎること


老後
人的資本をすべて失った状態


老後の経済的不安を解消する方法
老後を短くする(働き続ける)こと


生涯現役でいるためには嫌いな仕事、不得意な仕事なんか絶対続けられない


つまり、


「好きを仕事にする」以外に生き延びることができない!

 

 

 

  • 友だちとはなんだろう?


「幸福」は社会資本からしか生まれない


巨万の富を得てもそれを誰も知らなければ紙幣はただの紙切れ

 

 

 

  • 3つの世界

 

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①「愛情空間」
②「友情空間」
③「貨幣空間」


①(家族、恋人)+②(友だち)=④「政治空間」(会社の先輩、同僚、SNS上のつながり)


③(他人によって構成され貨幣でつながっている空間)


④(イジメ、パワハラ過労自殺など敵味方が入り乱れている空間)

 

 

 

  • 煩悩から自由になった「ソロ充」


人生の問題のほとんどは近しい人とのこじれた関係から生じる


対処法
1、ベタな仲間や家族、親族の共同体のなかで生きる
2、一切の人間関係を断ち切る(ソロ充)→すべての社会資本を政治空間から貨幣空間に置き換える

 

 

 

 

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・弱いつながりで得られるもの
1、社会資本を分散投資するので、リスクに対する耐性が強くなる


2、お互いの価値観が似ているという「認知的共感」によって境界の曖昧な集団を構成するため、異質な存在に対しても寛容でいられる


信用を「貨幣」に置き換えて「知り合いの輪」を広げていくことができる


・強いつながりで留意すべき問題
1、地元や会社に社会資本を一極集中している


2、メンバーの情緒的共感が幸福感を生む一方で、その一体感が外集団の排除や差別をもたらす可能性があること


・組織(強いつながり)を捨てることの
デメリット→生活が不安定になる
メリット→人間関係が選択できる


「強いつながり」を恋人や家族に最小(ミニマル)化して、友情を含めそれ以外の関係はすべて貨幣空間に置き換える

 

 


以上です。
前半にでてきた8つの人生パターンで解説していたように、


3つの資本のうち1つしか持っていない(その1つが無くなったら…)、3つ全て持っていない


といった生き方はとても大変になることが想像されます。


かといって3つ全て手に入れることはほぼ無理ゲーです。


と、なると僕のような凡人でも健やかに生きるには3つの資本のバランスを常に保ち、


どれかが欠けても他の2つで補えるようなリスク管理をしていくことが幸福になる道なのかな、と感じました。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

読書感想ブログその5

今回の本はコレ

 

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「魔の2才児」と楽しくバトル!
新編 2才児イヤイヤ期の育て方

 

新編 2才児イヤイヤ期の育て方―「魔の2才児」と楽しくバトル!

新編 2才児イヤイヤ期の育て方―「魔の2才児」と楽しくバトル!

  • 作者:佐藤 眞子
  • 発売日: 2013/10/04
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

ん?

介護やリハビリと2才児のイヤイヤ期がどう関係するんだ?

 

と思った方もおられると思います。

 

まぁ半分は自分事で半分は人材教育に通ずるものがあるなぁと勝手に感じたので読書感想ブログで挙げようと思いました。

 

いま現在イヤイヤ期のお子さんを育てておられる方は自分のお子さんを。


新人教育や育成を担当されておられる方はその部下を。

 

それぞれイメージしてもらえると嬉しいなと思います。

 

※くれぐれも部下を子ども扱いする、という意味ではないのでご注意を!

 

 

 

  • はじめに

 

赤ちゃん時代を抜けて自我が芽生え始めた2才児はとても手強い存在。

 

その成長をしっかり見守り愛情深く受け止めるための知恵が詰まった本である、

 

と著者は冒頭で述べています。

 

心があまりにも急激な発達をしているために、
自分でもどうしたらいいかわからなくなって
混乱したり、もがいたりしている

 

そんな時期を「魔の2歳児」や「イヤイヤ期」と呼んだりしています。

 

「あの頃はあんなにかわいかったのに…」と
親まで「子育てイヤイヤ期」になっているのではないでしょうか?

 

これから自立しようとする子どもの内面を理解し、子どもを忍耐強く見守れるよう親も、子どもとともに育っていきましょう、

 

という言葉は子育てに限らず人材育成にもぴったりと当てはまる気がします。

 

そうなんです。
親(指導者)が子(部下)に対してすべきことは『忍耐強く見守る』

 

ということをこの本で再確認しました。

 

 

 

  • 2才児の心の発達

 

・「イヤ」「自分で!」は自我の芽生え

何でもかんでも「イヤ」と言うわけでなく、
「はい」と言って素直に頼んだことをしてくれることもある。

 

自分自身の要求が制限されたり、禁止されたりするとき、


子どもは「はい」と「いいえ」のラインを見極めるそうです。

 

 

 

  • 2才児の感情表現

 

・喜怒哀楽の表現がとても豊かになる

2才児の色々な「問題」とされる行動はみな、
情緒の分化が進んだことのあらわれ。

 

感情が豊かに表現できればできるほど、
2才児としての発達が順調であると考えられます。

 

 

 

  • 気になる2才児魔の行動

 

なんでも「イヤ!」
・反抗は成長のあかし

「いや!」と言えるようになることは、
自分の考えを主張できてきた証拠。


それが大人には反抗に見えてしまう、と著者は話しています。

 

 

 

  • 家族のつながり

 

嬉しいことも悲しいことも何もかも一緒になって共感してくれるのが家族。


自分の存在をしっかり受け止めてくれる家族の一人一人に、子どもは安らかな心を寄せます。

 

お母さんの役割
・母性愛神話にとらわれないこと

「自分を犠牲にして子に尽くす、すばらしい母」


になろうとしても、子どもにはありがた迷惑であるということになりかねない。

 

互いに影響を与えたり、与えられたりしながら、心を通い合わせていくことに重きをおくほうが、


母親の役割としてはずっと大切なことのように思われる。

 

 

 

  • 子どもとの暮らしを楽しみましょう

 

・親と子の個性がぶつかることもある

子どもに「当たり(聞き分けの良い子)、はずれ(親の言うことを全く聞かない子)」があるように、

 

子どもにとっても親の「当たり(自分の言動を全て受け入れてくれる親)、はずれ(あれしろこれしろ、と文句ばかり言う親)」があるかもしれません。

 

 

・息抜きして心に余裕をもつ

子どもの個性は認められなければいけないですが、


それと同時に親もすこやかに生活する権利がある

 

心に余裕がなくなってしまうと、

 

「私がこんなに一生懸命頑張っているのに…」と


子どもや家族に当たり散らす、という最悪のパターンに陥ってしまう。

 

育児は勉強と違い、まじめに頑張り抜けば必ず成果が現れる、


というものではないかもしれません。

 

 

・「いま」をしっかりと楽しく

「過去」に目がいく親は、問題行動が生じると、


必ず子どもが小さかったときの育児のやり方にその原因を探ろうとする傾向にあると言います。

 

しかし冷静に考えれば過去に生じたことならどんなことでも「原因」にすることができます。

 

「添い寝をしなかった」ことも「添い寝ばかりしていた」ことも、どちらも「いま」の睡眠の問題と関係づけることは可能です。

 

子ども自身は「いま」を生きています


だから親もしっかりと子どもの「いま」を見つめ


「いま」が豊かになるよう援助することが大切だと著者は述べています。

 

 

 

以上です。
冒頭でも触れましたが今回2才児の成長について考えることで、


新人教育や人材育成と共通する事柄がとても多いように感じました。


育児にしろ、人材教育にしろ、
大人は色々なことに手を出したくなることが多いです。


それは「もっと成長してほしい」「色んな経験をしてほしい」など、


相手のことを思っての行動であることが大半だと思います。


しかし、その大人の言動が結果的に子どもの成長や自尊心を止めるキッカケになる可能性も大いに秘めていることを大人である自分は自覚しておかないといけないと感じました。

 

あまりにも口出しされると子どもは指示がないと動かない(自発的に行動することを注意され続けた結果)ようになります。


怒られることが多いと子どもは怒られないような行動をとるようになります。


子どもの頃に親に認められない経験が続くと、大人になってから他者から認められたい行動(SNSで他者から評価されたがる等)をとるようになります。


必ずしも上記のような関連性がある訳ではありませんが、少なくともこれらの行動をとる可能性を高める、という認識でいていただけるとありがたいです。


わが子、わが後輩を師と仰ぎ、
彼ら、彼女らから多くのことを学ばせてもらう、
という姿勢でこれからも関わっていきたいと思いました。


最後まで読んでいただきありがとうございました。

読書感想ブログその4

作業療法理論について学ぶ

 

今回読んでみた本はこれ。

 

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5W1Hでわかりやすく学べる 作業療法理論の教科書

5W1Hでわかりやすく学べる 作業療法理論の教科書

  • 発売日: 2020/09/28
  • メディア: 単行本
 

 

この本は信念対立解明アプローチOBP2.0理論など様々な理論研究をされており、近年ではユーチューバーとしても活躍されている京極真先生も自身の動画で紹介しています。


新刊紹介動画
【新刊紹介】作業療法理論の教科書を発売します! - YouTube


増刷決定の動画
増刷決定!作業療法理論の教科書 - YouTube


ぼくのブログを読むのが手間な方は是非こちらの動画を参考にしてみてください。

 

 

 

  • この本の特徴

 

これは作業療法理論を現場で活用するための入り口となるもので、とてもわかりやすく説明してくれています。

 

※ぼくのような、理論から逃げ回っていた人間からするととてもありがたい本です。

 

 

 

  • なぜ理論が必要か

 

この本で理論は作業療法の実践における特定の問題を過去の情報に照らし合わせて理解し、

言語化し、介入方法の検討を手助けするもの

 

 

とあります。

 

また、過去に観察され、蓄積された情報が凝縮化されたマニュアルのようなものとあり、

 

実践を分析し、過去の知見を参照することによって、良い実践へと導くために必要と述べています。

 

 

 

  • 理論の意義

 

理論の意義について本書では3つの視点で述べています。


・理論を使用する一般的な意義

1、結果を予測することができる
2、ある「事実」を説明・解釈する手がかりを得ることができる
3、ある現象を「整理」することができる
4、仮説を生み出す「母体」になることができる

 


作業療法の独自理論を確立することによる専門職にとっての意義

1、作業療法独自の知識体系を確立し、作業療法のアプローチの独自性を示す
2、作業療法の守備範囲を明確にする
3、実践に妥当性を与え、その手引きとなる
4、診療報酬を正当化する

 


作業療法における理論の意義

1、作業療法を臨床で思考するために重要で臨床実践を明確化できる
2、人の生活や作業を評価・介入する専門職にとって有用である
3、作業療法の臨床実践の根拠であり説明のツールである
4、作業療法の学問的知識であり、作業療法の科学、哲学である


このまとめからも理論は学問と臨床実践を結ぶ重要なツールであるといえますね。

 

 

 

  • 理論を用いる際の注意点

 

理論を学ぶこと、理解すること、実践に活かすことは非常に重要ですが、理論を用いる際に注意しておかなければいけないこととして、以下の3点が挙げられています。


・理論は時代背景や科学や医療の発展とともに変遷する

 

・理論は研究により効果が認められるようなエビデンスをもつものもあるが、その範囲が限られていたり、不十分な理論もある

 

理論がすべて正しいとは限らない


これらの点を念頭においた上で理論をうまく実践に活かしていくことが大切になっていきます。

 

 

 

  • 理論の分類

 

理論には目的、扱う対象や範囲、実践との関係により分類することができます。


分類方法を知ることで理論を整理し、正しく用いることが可能になります。

 

理論を扱う概念の範囲によって

・超メタ理論
・メタ理論
・大範囲理論
中範囲理論
・小範囲理論

 

と、大きく5つに分けられることができ、理論を分類して理解することは理論を実践で活用する際の知識の整理のために有用になります。

 

 

 

 

理論書を学ぶことを決意したとき、最後に問題と超えるべき課題が立ち現れます。

 

その問題となるのが
『理論書の難解さ』『理論を臨床現場で活かす読み解きの難しさ』であり、

 

超えるべき課題が


①一人で抱え、一人で解決しようとする心理的エラー
②多くの情報処理
③難解な理論書の理解と読み解き

 

になります。

 

理論を学ぶのはやっぱり難しい…。


自分には無理だ…。

 

そう感じてしまう人は少なくないと思います。
まさに自分がそうでした。

 

でもこの本は理論を学んだ上で実践するのと、そうでないのとでは臨床過程や結果が大きく変わってくる、ことを解説してくれています。

 

 

 

  • 臨床での理論使用の効果

 

以下に挙げる理論使用の有効性を検討した上で、わたしたち専門職は理論を使用するべきかどうか判断します。

 

・失敗回避:過去の過ちを繰り返さない最良の手立て

 

・専門性の確立:現象を言語化する力を養い、議論の進行をスムースにする

 

・方向づけ:自分に足りない視点や行動を提示し、OTの視点で介入ポイントを示す

 

・持続的効果:理論の力で多面的に見る視点+包括的に人を捉える=持続的効果(即時効果に留まらない)


理論が素晴らしいことはわかるけど、やっぱり自分なりに学んで考えたことを実践してみたい!

 

そう思う気持ちはとても大切ですし、わかります。

 

ただ、私たちの仕事の大半は診療報酬の上で成り立っています。

 

言い換えれば対象者さん以外にも皆さんからの税金によってお金を頂いています。

 

そして何より私たちの関わりは、


病気に罹り、障害を持たれた対象者さんの人生を大袈裟ではなく良くも悪くも変えてしまいます。

 

そう考えると、ただただ自分のやりたいことをやりたい、という考えに少しブレーキをかけないといけないのではないか…

 

ぼくは理論の重要性を考えるようになってからこんな考え方に変わっていきました。

 

 

 

  • 理論に関するQ&A

 

最後に本書では理論に関する素朴な質疑応答のページがあります。

 

強く共感した内容を2点紹介したいと思います。


Q1、信じる理論の違いによって、なぜ対立は生まれるのか?

 

A1、理論を信じるからこそ対立は生まれる。

理論を「共通目標を達成するために使うツールであり、複数の理論を補完し合いながら活用していけばいい」と気づくこと。

 

理論は信じるものではなく、目標を達成するために使うもの

 

 


Q2、理論はどこまで学習すればいいのか?

 

A2、まずは広く浅く学習することが重要。

実践で適応しながら学習を深める(強化)。

 

最終的に広く深く学ぶことがベスト。

実践で使えそうならまず使う!

理論は実践で使わないと身につかない

 

 

 

以上です。

上記内容以外にも本書では21の理論を、

 

なぜ?何で?誰が?どこで?いつ?どのように?用いるのかを解説してくれています。

 

各理論の感想まで書くと、ますます乱文に拍車がかかってしまうのでこのへんにしたいと思います。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

読書感想ブログその3

作業って何だろう?

 

作業療法士とは作業を治療に用いる専門家です。

 

でもその『作業』が何かをいまいち理解できていないことが少なくありません。

 

僕がまさにそうでした。

 

そんななかドンピシャな本がありました。

 

それがこれ。

 

f:id:muronoazono:20210424170533j:image

 

「作業」って何だろう
作業科学入門

 

 

「作業」って何だろう 第2版 作業科学入門

「作業」って何だろう 第2版 作業科学入門

  • 作者:吉川 ひろみ
  • 発売日: 2017/07/14
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

 

本書は吉川ひろみ先生という、
作業療法士の方なら知らない人はいない、
とても有名な作業療法士の方が執筆された本です。

 

世間でも「理学療法士さんは知ってるけど、作業療法士さんは何をしてくれる人なの?」
と言われることがよくあります。

 

作業療法士のなかでも作業療法とは何かを説明できる人はそう多くない、と吉川先生は話しています。

 

 

 

  • 作業の定義

 

当たり前ですが、作業とは人が何かを行うことです。


世間で用いる作業と、作業療法士のなかで用いる作業には少し違いがあります。

 

作業療法士が定義する作業はいくつかありますがそのなかで共通するのは、

 

人間が自身の人生にとって意味や目的をもって行う行動や特徴、パターンがあります。

 

そしてその作業を通して社会参加を実現する方法(治療のために作業を使う)として作業療法があります。

 

作業科学とはその「作業」そのものについてもっと深く考えていこう、というものであり、


本書は作業科学を理解するための入門書のようなものです。

 

 

 

  • 作業をすることは良いことばかり?

 

作業療法というだけであって、作業は人間にとって良いことだと思われがちです。

 

でも人を健康にする作業(音楽鑑賞、スポーツ、旅行、友人と遊ぶ、美味しいものを食べる等)もあれば不健康にする作業も当然ながら存在します。

 

働き過ぎること(ワーカホリック)、アルコール依存症、薬物依存、喫煙、食べ過ぎること等の作業は人を不健康にする作業です。

 

作業は人を健康にもするし、場合によっては不健康にもなります。

 

またその作業を行う上で『人』『環境』もとても重要になってきます。

 

 

 

  • 健康の定義

 

一般的に健康とは病気ではないこと、をイメージしますが、必ずしもそうとは言えません。

 

健康とは身体的、精神的、社会的によい状態であること、とあります。

 

これはWHOが定めたオタワ憲章のなかで詳述されています。

 

 

 

  • 作業科学に必要な視点

 

同じ作業遂行は2つと存在することはありません。

 

ゴハンを食べる、という作業も"誰と食べるのか"、"どこで食べるのか"で全く変わってきます。

 

また同じゴハンをAさんと、Bという場所で食べたとしても、昨日食べたのか、明日食べるのかでは全く別の作業になります。

 

このように"ゴハンを食べる(作業)"、"Aさん()"、"Bという場所(環境)"といった要素に分けるのではなく、融合し合った全体となっていく状態(トランザクション)がある、という視点をもつことが大切になります。

 

 

 

  • 作業的存在

 

作業をすることによって、人は自分自身がどのような存在かが決まってきます。

 

また、どんな生涯を送るか、どの集団に属するかも決まっていきます。

 

それをオーストラリアの作業療法士、アン・ウィルコック先生が「d+b3=sh」と表現しています。

 

 

 

  •  d+b3=sh

 

これはdoing(作業)+being(存在)、becoming(将来の自分)、belonging(所属)=survival(生存)、health(健康)の略称です。

 

アン・ウィルコック先生は行うこと(doing)、自分があること(being)、将来の自分になっていくこと(becoming)、

 

そしてもうひとつ所属すること(belonging)が生存(survival)と健康(health)を可能にすると考え、

 

さらにこれが健康を増進し、病気や障害を予防すると考えました。

 

またこのような状態を支えるものの一つに作業的公正が必要だと述べています。

 

 

 

  • 作業的公正

 

人が何かを行うことを出発点として生きていくためには、自分にとって意味のある作業に公平に参加する機会が必要です。

 

そしてこの公平が保てていない状態、意味のある作業が行えていない状態を作業的不公平(作業機能障害)と呼んだりします。

 

これを先述したアン・ウィルコック先生と、カナダの作業療法士、エリザベス・タウンゼント先生が世界数カ所にわたってワークショプを行い、提唱しています。

 

 

 

  • 作業的不公正

 

アン・ウィルコック先生とエリザベス・タウンゼント先生は作業的不公正を

 

①作業疎外

②作業剥奪

③作業周縁化

④作業不均衡

 

という4種類で考えられると指摘しています。

 

①作業疎外


朝起きて、仕事に行って、帰って、寝る、といった毎日の単調な生活のなかで、作業を通して生きている実感を持てない、成長することもできない人によくみられます。

 

②作業剥奪


外的な力で作業が長期間にわたって奪われている状態。災害で家を失い、避難所で暮らしている人たちはこの作業剥奪を経験します。

 

作業を奪われ続けると、身体は弱くなり、気力も失せ、社会とのつながりもなくなっていきます。

 

作業剥奪は健康状態の悪化につながります。

 

③作業周縁化


隅に追いやられている状態。


何か作業は行なっているが、それが周辺的な些細な価値しかない場合を作業周縁化と呼びます。

 

自分の能力を発揮できない些細な仕事ばかりをしなければいけない場合もこれにあたります。

 

④作業不均衡


不均衡とはバランスが損なわれている状態を指します。

 

ワークライフバランス働き方改革サービス残業廃止などが必要だと言われるのは働き過ぎを問題視しているからです。

 

ただしこのバランスがとれているかどうかを判断することは難しく、自分が楽しいと感じる仕事ができている人は、必ずしも自分が働き過ぎているとは感じないこともあります。

 

 

 

 

作業をしているうちに、病気が治ったり、心身機能障害が軽くなったりすることから、作業療法が注目されました。

 

作業には力がある、作業の力をみんなが知り、自分の人生に活かしていってほしい、という願いは各地、各分野に発展していきました。

 

アメリカの作業療法協会初代会長であり、建築家であるジョージ・エドワード・バートン先生は作業の力が高まるには次の6つの条件があると話しています。

 

①選択、リスク、責任


自分で選び、リスクを引き受け、結果の責任をとるときに、作業の影響力が高まります。

 

②クライエントの参加


クライエントの参加があってこそ、作業の力が現れます。

 

③可能性の見通し


作業は簡単過ぎても難し過ぎてもいけません。
できるという可能性の見通しがあるとき、その作業を頑張り続けることができます。

 

④変化


前例重視の組織や事なかれ主義の集団においては作業の力は小さくなります。

 

作業を通して、人も、環境も変わり、理想に向かって社会変革を起こしていくことを望む状況が作業の力生まれることを奨励します。

 

⑤公正


不当な差別や人権侵害がある社会では意味のある作業を行うことを抑圧されてしまいます。

 

誰もが自分にとっても社会にとっても意味のある作業を見つけるための公正な機会が必要です。

 

またそのための支援を公正に受けることも必要です。

 

⑥力の共有


多くの作業は一人ではできません。


誰かとともに行うことで作業の力は強まります。

 

したがって作業療法士とクライエントとの正しい関係は協働関係である、ということになります。

 

 

 

 

作業科学を正式な学問として誕生させた南カルフォルニア大学の研究者たちは、作業科学を応用した作業療法を報告しました。

 

同大学のフローレンス・クラーク先生は作業ストーリーテリング作業ストーリーメイキングを個人の作業研究で行いました。

 

作業ストーリーテリングではクライエントが自分の作業について自発的に自然に話すことができるよう心がけます。

 

作業ストーリーメイキングは作業ストーリーテリングでわかったストーリーを将来へ向けて新たに作っていくことです。

 

また作業療法士はその作業がクライエントの将来にとってどんな意味があるかを語ったり、進歩していることをフィードバックしたりします。

 

作業療法士はクライエントが自分の将来の作業についてあれこれ考えるときに、問題を整理していくようなコーチ的な役割が求められます。

 

 

以上です。
まとめたつもりがこんなに長くなってしまいました。。。

 

まだ伝えきれていない所ばかりですが、もし作業科学に興味のある方がいたら、一緒に学んでいけると嬉しいです。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

リーズニングとは何か?

前回、EBMEBPに関する記事を投稿しました。


※前回の記事はこちら→エビデンスって必要? - muronoazono’s blog


そのなかで少しふれた『リーズニング』について、


今回考えてみたいと思います。


参考にしたのはコレです


f:id:muronoazono:20210422011339p:image


『note』という、文章や動画など様々なコンテンツを投稿できるプラットフォームです。


そこでいくつもの記事を投稿されている作業療法士の寺岡睦先生の記事です。

 



https://note.com/mutsu13t/n/n814b4e8b535a

 


寺岡先生は身体障害領域の臨床経験をもち、現在は吉備国際大学で講師を務めておられる方です。


noteのような誰でも気軽に投稿できるものだけでなく、


作業療法に関する様々な研究論文も執筆されており、


記載内容の信頼性も高いかと思います。

 


ここでは簡単な説明しかできないと思いますので、詳しい内容は寺岡先生のnoteを参照ください。

 

 

 

 


●リーズニングとは何か

 

リーズニングとは「思考の道筋」といわれています。


思考の道筋は療法士がクライエントへの介入を計画し、方向づけ、実行し、


結果を内省する過程を意味します。


またリーズニングは様々な呼称があり、

 

  • クリニカルリーズニング

 

  • 専門職リーズニング

 

  • 治療的リーズニング

 

  • 作業的リーズニング


といったものがありますが、基本的には意味はどれも同じだといわれています。


ここでは一般的によく使われているクリニカルリーズニングで説明していきたいと思います。

 

 

 

 


●クリニカルリーズニングの種類の例


リーズニングには5種類あるといわれており、

 

①科学的リーズニング


②物語的リーズニング


③相互交流的リーズニング


④実際的リーズニング


⑤倫理的リーズニング


があります。

 

 

 

 

 

①科学的リーズニング

これは前回ブログに投稿したEBMEBPの内容を確認してもらえたらわかるかと思います。


※前回の記事→エビデンスって必要? - muronoazono’s blog

 

 

 

 

 

②物語的リーズニング

対象者の語りから置かれている状況を理解するときに使用します。


その方がこれまでどんな生活を送ってきたのか


これから何をしたいと思っているのか


どんな行為に意味を感じているのか


などを構成的、あるいは非構成的評価によって確認していきます。

 

 

 

 


③相互交流的リーズニング
療法士が一方的にプログラムを立案していくのではなく、


対象者と共に考えるなかで最善のプログラムを考えていきます。


いわゆる協業というやつでしょうか。

 

 

 

 


④実際的リーズニング
現実的制約を踏まえた上で臨機応変に判断するときに使用します。


たとえば脳卒中片麻痺の方に対する歩行機能の改善を目的に、


ロボットスーツ(HALなど)を用いることは有名です。


しかしこのアプローチは誰でもどこでもできるものではありません。


今ある物理的、人的環境のなかで提供できる、


最善のリハビリテーションを考えていく必要があります。

 

 

 

 


⑤倫理的リーズニング
医療専門職という認識をもち、


実践中に行ってよいことなのか、


それとも悪いことなのかを判断する際に活用します。


対象者の方が望むものが、


家族、社会的に望ましくない内容であった場合、


療法士はどう判断するのか


こういったことも倫理的リーズニングに含まれます。

 

 


以上がクリニカルリーズニングの大まかな概要です。


療法士はこれら5つのリーズニングを常に繰り返し、


状況に応じて順不同的に考えていく必要があると述べています。

 

 


またこれらは療法士と対象者が変わるとまた新たなリーズニングが始まり、


その視点や深化は経験とともに変化していくとも述べています。

 

 


今年入職された療法士の方や若手と呼ばれる皆さんは利用者(患者)さんお一人お一人のことを全て完璧に理解し、


リハビリプログラムを立案していくことなどは


なかなかできるものではありません。


(私なんか毎日テンパってました…)


毎日の忙しさのなかに少しでも考える時間を見つけ、


これら思考の道筋をうまく活用していけたらと思います。


偉そうなことを言ってる私もまだまだ全然できていないので、是非コメント等いただき一緒に勉強させてもらえると嬉しいです。

 

 


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

エビデンスって必要?

EBMEBPという言葉は医療関係者の方は既に周知していると思います。

 

今回はこのエビデンスって必要なのかどうか

というテーマについて考えてみます。

 

結論からいうと私はエビデンスは必要だと思っています。

 

しかし、そう言いきるには少し説明をしないといけないと感じています。

 

Evidence Based Medicine/Evidence Based Practice

 

日本語では「根拠に基づいた医療/根拠に基づいた練習」といった訳され方をしていると思います。


しかし、この「根拠」という日本語訳が少しEBMEBPを誤って理解してしまうことが多いそうです。

 

偉そうに書いていますが私も以前まではEBMEBPという言葉に対してアレルギー反応を示していました。

 


ですがそれをとてもわかりやすく説明してくれる方がいました。

 

その人は作業療法士の竹林崇先生という方です。

 

竹林先生といえば脳卒中リハビリテーションにおけるCI療法でとても有名な方です。


そんな竹林先生ですが、セミナーや著書執筆活動以外にも、

 

SNSTwitterYouTube、noteなど)を通して様々な形で最新の情報をわかりやすく発信してくれています。


今回はそのSNSのなかからYouTubeにアップされた内容を紹介したいと思います。


【EBP/EBMシリーズ①】EBP/EBMとは〜歴史と定義からリハ領域での活用を考える〜 - YouTube


詳細は↑のYouTubeを視聴していただければ問題ないのですが、少しだけ自分なりに説明したいと思います。

 

日本語はEvidence=「根拠」といわれることが多いですが、先生は「証拠」「実証」という

言葉を使用する方が理解しやすいのではないかと説明しています。

 

またEBMと聞くと、

 

エビデンスのあることしかやっちゃダメなんでしょ?目の前の利用者さんに何でもかんでもエビデンスをあてはめようとする考えってどうなの??」


という批判も少なからずありそうな気がします。

 

自分もそんな考えを持っていました。


でもEBMはそんな偏った考えではなく、眼前の利用者さんにとって究極のオーダーメードである

 

と先生は話しています。

 


それを実践していくためには5つのステップが大切だといわれています。

 

この内容に関しても違う動画で丁寧に説明してくださっています


【EBP/EBMシリーズ②】EBM/EBPの5STEP - YouTube

 

Step1:眼前の対象者についての問題の定式化

Step2:定式化した問題を解決する情報の検索

Step3:検索して得られた情報の批判的吟味

Step4:批判的吟味の患者への適応

Step5:1~4の再評価

 

さらにその5つのステップをPICOという4つの視点を使って考えていくと理解しやすいといわれています。


Patients:どんな患者(対象者/利用者)さんで

Intervention:どんな介入があるのか

Comparison:他の介入と比較して

Outcom:介入の結果どうなるのか

 

 

Step1:眼前の対象者についての問題の定式化

 

目の前の対象者さんは一体どういった方なのか?

 

ここにはどういった疾患をお持ちで、どのような人物の方なのか、といった内容が含まれます。

 


Step2:定式化した問題を解決する情報の検索

 

Step1から、その疾患や性別、年齢などに当てはまるとされる有益な情報を検索する。

 

恐らくEBMのイメージはここが特に強いのではないかと感じます。

 


Step3:検索して得られた情報の批判的吟味

 

検索して得た情報が果たして本当に目の前の対象者さんのリハビリテーションに適応できるものなのか。

 

この点がとても大切で一つ間違ってしまうと、

 

目の前の方を無視してエビデンスのみを優先させてしまう危険性があると感じています。


Step4:批判的吟味の患者への適応

 

たとえ高いエビデンスがあるといわれている内容であったとしても、

 

対象者さんがその治療方法を本当に望んでいるのか?

 

リハビリテーションは療法士のためにあるものではなく、

 

それを受ける対象者さんのためのものです。

 

なので対象者さんが望んでいなければ、

 

高いエビデンスであっても使用するべきではないと考えます。

 


Step5:1~4の再評価

以上のことを繰り返し評価しながら、

必要に応じて新たなプログラムを立案していくことが必要だと話しています。さ

 


ここでは本当に簡単な説明しかできていません。

 

なのできちんと理解するためには、

 

やはり一次情報(原著論文)から情報収集していくことが大切だと思われます。

 


EBMEBPの理解にはこの他にもクリニカルリーズニングや、

 

OTでは近年『作業療法リーズニング』といった考え方も大変重要になっています。

 

今回はリーズニングに関しては割愛させていただきます。

 

以上、今回はEBMEBPについて書いてみました。

 

自分がOT1年目の頃にこれらの情報を得ていたら、

 

ちょっと未来は変わっていたのかなぁと思わなくない気がします。


でも今からでも遅くないと思っていますし、

 

昔も今も変わらず目の前の対象者さんのために、

 

とにかく必死のパッチで動いて考えて動いていきたいと思います。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。